日本では、「有効性が曖昧でも安全だからいいじゃないか」という議論があるようですが、医薬品は有効性と安全性の比較考量で価値が決まります。要は、風邪薬で髪の毛が抜けたら承認されませんけど、抗がん剤なら有効性もあるので副作用が許容されるのです。
そもそも体に異物を取り込むものですから、薬になるものなら何らかの害は有り得ます。極論ですが、水のようなものを安全だからと言って有効性を確認せずに薬として高額で売るのは詐欺です。
その評価に欠かせないのが科学的データですが、日本ではこれが軽視されている気がします。ノバルティス社のディオバンの件もそうですが、科学的データに対する意識が低い証拠です。科学的データがなければもはや医療とは呼べず、宗教と同じで単なる心の救いにしかなりません。
みなさんも心の救いだと割り切れるならいいですが、安くはないので科学的データの裏付けのない治療は避けましょう。
Cancer
Vaccine Setback (WSJ, 09/05/13)
がんワクチンの挫折
実験的がんワクチンは、臨床試験で皮膚がん患者を助けられず、腫瘍と戦うために体の免疫システムを利用しようと試み話題になった医療分野での挫折となった。
通常のワクチンと違い、この製品は、既にがんと診断され、その病と戦うために免疫システムを利用したい患者に与えられる、immunotherapiesとして知られるいくつかのいわゆるがん治療ワクチンの一つである。
この製品は、進行性黒色腫の65%に含まれているが、通常の健康な細胞にはない、特定の種の腫瘍で見つかったタンパク質を体内に注入する。希望的観測では体がこの異常なたんぱく質を異物として認識し、がん細胞を含む、それが存在する体内のどこでもそれを攻撃するはずだった。
この失望的な結果にも関わらず、このことはimmunotherapyに関する熱狂、特に別の機序で作用し黒色腫や他のがんへ時々劇的な効果を与えるために興味を掻き立てるimmune checkpoint inhibitorsへのものをくじく可能性は低い。
別のがんワクチンは上市されている。それは、患者自身の細胞を血液から取り出し、体外で加工し、がんに対する免疫システムを活性化するために体内に再注入されるというまったく別の方法で作用する。投与がはるかに簡易な競合薬の存在や医師の中での製品の有効性への懐疑といった要素を反映し、売り上げはここまでいまいちだ。
分析者は長年、MAGE-A3ワクチンをリスキーなプロジェクトであると考えてきたが、専門家の中にはこの製品を見限るにはまだ早すぎると述べる者もいる。